教育の科学 / ソフィア外語学院学院長 / ソフィア外語学院

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教育の科学>第一章 教育には科学が必要

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第一章 教育には科学が必要

1.教育について間違った知識を広める人たちがいる

教育を科学的に研究する学問がある

 「英語教育の科学的な研究を行っています」などと言うと、なかなか正しく理解してもらえないことが多いです。そもそも教育を科学的に研究するという発想がピンと来ない様です。学校の先生になるためには教員免許状が必要ですが、大学で教員免許状を取得するのに必要な科目を取った経験のある人なら、教育心理学のことだと言うことがすぐにわかるのですが、世の中にはそういう勉強をしていない人もたくさんいますし、教員免許状取得のために教育心理学を勉強していても、どうしても勉強の内容が浅いという場合も少なくないと思います。

教育については、専門外の人がでたらめを言うことが多い

 数学や物理の様な領域は、専門外の人には、全く理解できないので、専門外の人が単なる想像であれこれ意見を言うこともまずありません。しかし、教育というのは、専門外の人でも意見を述べやすい面があり、専門外の人があれこれと意見を言う傾向があります。こういった専門外の人でも意見が述べやすい領域というのは、他に健康・医療関係とか、経済関係とかいろいろあります。言論の自由というものがありますから、誰がどういう話題についてどんなことを言おうと自由なのですが、根拠のない妄想は、間違った知識を人々に植え付ける結果になってしまうことが非常に多いです。例えば、樹木の皮を食べるとガンが治ると主張する人がいます。何を主張しようと自由ですが、樹木の皮でガンが治るわけがありません。わかっている人には、馬鹿げた話ですが、実際にだまされて樹木の皮を食べて死んでしまう人もいるそうです。

根拠のない間違った知識が世の中に広まっている

 教育についても、同様の事態が昔から続いています。こういう風に教えるといいとか、こういう学習法でテストの点が上がるとか、そう言った主張は昔から後を絶ちません。しかし、しっかりした根拠があるかというと、ほとんどの場合、単なる脳内の妄想に過ぎないか、断片的で不十分な経験を基にしているか、あるいは、例外的な少数の事例を全員に当てはまるかの様に思いこんでいるに過ぎません。こうしたいい加減な主張は、塾や予備校の宣伝広告だけでなく、新聞やテレビなどのマスコミ、教育評論家、学校の教師、教育の研究を専門としない大学の教師などによって無責任に広められています。

2.教育は難しい

効果のある教育は、ガンの治療より難しい

 言論の自由は尊重すべきですが、教育を専門外の人が論じるのは、非常に危険です。専門外なのに教育を論じている様な人の場合、教育を簡単なものだと誤解していることが多い様です。逆に、難しいものだと思っていれば、気軽に無責任な議論を展開する人もかなり少なくなると思いますから、まず間違いなく教育を簡単なものだと誤解していると見ていいでしょう。しかし、教育は実際には非常に難しいものです。たとえて言えば、ガンの治療よりもずっと難しいです。ことわざでも「馬鹿につける薬はない」とか「馬鹿は死ななきゃ治らない」等と言いますが、この様に頭が悪いのは大昔から不治の病と認定されているほどですから、これを治すのは、至難の業であり、成功したなどと言うと誰にも簡単には信じてもらえないぐらいです。

100人に一人、成績が向上しても、効果があるとは言わない

 そんなに教育が難しいと言うことが昔から言われているのなら、変な議論を展開する素人がいなくなるはずでもありますが、たぶん、かえって難しいがために、微々たる成果を大成功と思いこんで、無責任なことを言うのでしょう。例えば、先日、ある塾の経営者から電話がありました。私が「塾の教育は効果がない」と言うので、「そんなことはない。うちの塾はちゃんと効果がある」と文句を言うのです。そこで、「それは、100人に一人学校の成績が上がったとか言う話でしょう?」と聞くと、「そうです」と言います。それを聞いて、私は「学校の成績が悪いのは、ほとんどの場合は、知能が低いからですが、その他にも、いろいろな原因があり得ます。友達関係の問題とか、家族問題とか、様々です。100人に一人ぐらいの効果なら、友達関係の問題が解決したためかもしれないでしょう。100人に一人成績が良くなったからと言って、効果があるとは全く言えないです」と言ってやりましたが、素人が妄想を抱く原因は、こんなものです。例外というのは、常に存在しますから、科学的な研究では、そう言うのを除かないといけません。人間には遺伝的にも、環境的にもいろいろな例外がいます。そう言った例外を考慮に入れると、100人中、少なくとも80人以上が学力を向上させない限り、効果がありましたとは言えません。まず、例外が統計的に何パーセントになるのかをきちんと知ることが第一歩ですね。

3.科学的に正しい知識への道

例外を普通だと思って、でたらめの知識を広めるのは、公害である

 そもそも、100人に一人しか効かない薬があったら、薬の内には入らないと言うことを考えれば、前述の塾経営者の様な主張は誰もしなくなると思います。しかし、こういう馬鹿げた主張をみんなするのです。あまりにひどいので、ほとんど公害と言ってもいいでしょう。

1年や2年の短期しか知らない一般の教師では教育はわからない

 例外を普通と思いこむ以外にも、正しい教育の知識を阻むものは、いろいろあります。まず、教育に直接携わっている教師といえども、長い年月かかる教育のほんの一部の時期しか見ていないことがほとんどであるという面があります。例えば、英語をマスターするには、最低でも10年や20年はかかるのですが、普通の英語の教師が見ているのは、このうちほんの1年ぐらいに過ぎません。まれに2〜3年、同じ生徒を教えることがありますが、その辺が限界です。実際には、どう考えても、初歩的レベルから始めて5〜6年は追跡していかないと、どういう勉強をさせるとどうなるのか全然わからないのですが、そんなことをできる環境にいる教師は、ほとんど全くいません。たぶん、そう言うことをしているのは、世界中で私ぐらいかもしれませんね。全体像を一度も見たことがないのでは、断片的で不十分な経験としか言いようがありません。しかし、そんな人の間違った意見が世の中に広まりやすいのが現状です。そうでない私のような人間が他にほとんど全く存在しないから仕方がないと言えば仕方がないのですが、そう言う普通の先生の話を聞く人は、その辺をよく考えた方がいいです。

一人一人の生徒を詳しく知らないと、教育のことはわかってこない

 ほとんどの教師は、単に見ている期間が短いだけではなく、一人一人を十分に詳しく見ていないです。普通、定期テストなどのテストの得点でしか生徒を見ていません。従って、ある生徒が普通の生徒なのか、例外に該当する生徒なのかすらわかっていないのがほとんどです。これでは、例外にしか当てはまらないことを、すべての人に当てはまるかの様に言っている可能性が高く、いくら教育経験が長くても、その人の知識は全く当てにはなりません。しかし、マスプロ教育(一人一人別個に個別指導するのではなく、一度に多数の生徒を教えるような大量生産型の教育)をやっている一般の教師は、全員、これに該当するでしょう。

教育効果を高めるには、まず測定方法の確立が必要

 学習効果を高めるには、しっかりした方法で学習効果が測定できることが、前提条件です。医療で、検査法もないのに治療法が確立するわけがないのと同じことです。しかし、学習効果が正確に比較できるような方法を持っていないのに、効果のある教育を行っているかのようなことを言う教師や学校や塾ばかりであるのは、呆れて物が言えないぐらいです。教育効果を主張する場合、学習開始前と学習終了後の学力の差をきちんと提示しなくてはいけませんが、それをやっているのを見たことがありません。詰まるところ、ただの誇大広告と見るのが正解と思われます。底辺レベルの生徒を集めているのに、3年後にはTOEICで600点以上になる様なことを言う高校もありますが、全員のデータをきちんと提示していない限り、ただの脳内妄想と思った方が賢明です。

評論家やマスコミの話は相手にすべきではない

 最悪と思われるのが、教育評論家などのいわゆる評論家です。ここまでの議論を読めば、誰でもわかると思いますが、データも取ったことがないだけでなく、そもそも教えたこともない様な人の話をどこまで信用できるのかと言えば、ゼロと言っても過言ではないでしょう。評論家の書いた物を読むと、明らかに専門的な知識がゼロであることが明白です。理屈だけはただの娯楽としてなら楽しめますが、確かな根拠がないです。少しぐらい勉強してほしいものですが、専門書が読めるようなら評論家はやっていないかもしれません。しかし、マスコミに至っては、さらに悪く、場当たり的に適当に書いているだけで、全く無知以外の何物でもないので、もはや論外と言った方がいいと思います。これから大学に入る人は、間違っても評論家やマスコミの言っていることを大学の教育関係の授業のレポートやテストで書かないようにしてください。

教育に関して科学的に正しい知識を得るために必要なこと

 大学できちんと学問をやった人にとっては、常識的なことですが、新しい知見を確立するには、たった一つや二つの研究では不可能なことであり、長い年月にわたり、かなりの量の研究が行われて、初めて可能なことです。ましてや全然まともに取り組んでいないのでは、論外です。今までの先人の研究成果を全部知っておくこと、きちんと学習効果を測定する方法を確立すること、何年間もの長期にわたり追跡研究を行うこと、一人一人の生徒を熟知しておくこと、科学研究における実験や観察、調査の方法に関する基礎知識を持っていることなど、基本的なことをきちんとやることが必要不可欠です。そうして得られた知識こそ、本当に正しい知識と言えます。世の中にはびこる誤った知識を排し、こうして得られた知識をよりどころにすることが、より効果的な教育を行うためには、必要不可欠なことだと言えます。
2007年2月26日


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